今日は、高配当株投資における暴落相場への対処方法についてまとめていきます。
2023年9月末から10月にかけては久々の軟調な地合い。日経平均は一時30,500円台をつけ、10月4日には700円以上も下落。
10月16日も一時は700円超の下落を見せるなど、ここにきて軟調な日々が続いています。
でも、こんなときこそ高配当株投資家の出番。
暴落相場はよい株を安く買えるバーゲンセール。高配当株投資家は、下落相場をもっと喜ぶべきです。
…と頭の中では分かっていながらも、
・株価がどこまで下がるか不安に感じてしまう
・含み益が溶けて心底悲しく感じてしまう
で、暴落時には我慢できずに怖くなり、結果、ろうばい売りをしてしまう個人投資家もいるかもしれません。
高配当株投資の基本は長期投資。株価が下がったことだけを理由に買った銘柄を売るべきではありません。
では、高配当株投資家は、どのように暴落相場と向き合うべきなのか?これが本日のテーマです。
結論から言いましょう。
それは以下の3つのルールだと思います。
高配当株投資家の暴落相場の過ごし方
- 資金コントロールに気を付ける
- 買う銘柄に優先順位をつける
- 勇気を出して買い増しを行う
今日は、2012年以降、高配当株投資を続けてきたこの私が、永久保有を前提としたバイ&ホールド戦略でどう暴落相場と向き合うか、についてまとめていきたいと思います。
この記事を読んで暴落相場を乗り切ることができれば、高配当株投資家としての経験値も爆上がり。
きっと、お金持ちへの一歩を大きく踏み出すことができるはずです。
この記事を読んでみなさんの投資法のヒントになると嬉しいです。
なお、ご意見・ご感想はX(元Twitter)までお願いいたします。
Tweet to @okiraku_tohshi日々暴落相場に備える
そもそも暴落相場に適切に対応するためには、株価が絶好調でウェイウェイ♪の時期から心の備えが必要なのです。
そう、暴落相場が起こってから対策を考えるようでは遅いのです。
その解決策は資金コントロールです。株価が暴落したときに買い増しできるように日々キャッシュポジションをキープしておくことが必要なのです。
ただし、キャッシュポジションを確保するために、
「なんとなく下がりそう」
「カリスマ投資が下がるって言ってた」
などなど、なんの根拠のない相場観やエセ情報に頼るべきではありません。
高配当株投資の場合、株価が好調なら配当利回りも低下し、買いたい銘柄は少なくなります。
ともすれば、キャッシュポジションは自動的に積み上がり、自然に暴落への備えが出来上がるはずです。
暴落時に買い増しするための原資
- 日々受け取る配当金
- 減配やTOBによって得た売却資金
- 兼業投資家の強みを生かした追加投資
以前のエントリーなぜ高値掴みしてしまうのか?高配当株投資家の思考と投資判断の関係をまとめてみるでも書いたとおり、
・株価が好調なときに気が大きくなって無理な買い増しを進めたり
・投資ルールを破ってリスク許容度を超える投資に走ったり
こんな行動は慎むべきです。
それでも投資家が高値圏で買いに走る理由
それでも投資家は、買えば含み益が増える相場では強気になりがちです。
MONEY SENSE マネーセンス 人生で一番大切なことを教えてくれる「富」へ導くお金のカルテ11 (ブラッド・クロンツら共著)によれば…
・経済的な決断を動かしているのは欲ではなく恐怖である
・その恐怖は周りから置いてけぼりを食らうのではないかという恐怖である
・人間は社会的動物であるがゆえに群集心理が働き、皆と同じ行動を取りたがる性質がある
この言葉はルールを守る大切さを教えてくれます。そして、株価が暴落局面になると投資心理は悪化し、投げ売りを招くことになるのです。
こうした高いところで買い、安いところで売る…そんな悪循環から早く脱出し、暴落相場の安いところで「買う側」に回れるように日々自分をコントロールする必要があるのです。
暴落相場での買い増しが高配当株投資の真骨頂
暴落相場での買い増しが高配当株投資のパフォーマンスを上げるエンジンと言えます。
ジェレミー・シーゲルは著書の中で、配当金は下落相場のプロテクターとリターンのアクセルと評しています。
下落相場のプロテクター=下落局面での再投資を通じて保有株を積み増す配当の働き
リターンのアクセル=相場がいったん回復すれば、将来のリターンが加速すること
「株式投資の未来~永続する会社が本当の利益をもたらす」より引用
暴落相場をうまく乗り切り、長く相場に居続けることで、高配当株投資のメリットである下落相場のプロテクターとリターンのアクセルを最大限行使することができるはずです。
暴落相場の対処方法
なるほど、暴落相場での買い増しが重要だということも分かった!
そして、それなりの資金もプールでき、いざ暴落相場に直面した!
で、実際にどのような投資行動を選択するべきなのか、というのが今日の本題です(前置きが長すぎましたね…)
上記チャートは2023年10月4日のチャートです。日経平均は34000円を超えることができず(←→の期間)、30527円まで急落しました。
このような暴落局面で、あなたが狙っていた銘柄が投資基準を満たしていれば黙って「買い」でよいでしょう。
私の場合は配当利回り4.4%以上を投資対象ルールとしており、2023年10月は3銘柄新規購入することになりました。
有言実行!ということで2銘柄ヒットした模様😆
— うえけん@高配当株長期投資家 (@okiraku_tohshi) October 4, 2023
5302 日本カーボン4385円✕100株
7313 TSテック1595円✕100株
得意のだらだら買いで行きます😅 https://t.co/6lzngDboH3
4521 科研製薬を購入!
— うえけん@高配当株長期投資家 (@okiraku_tohshi) October 16, 2023
✅配当利回り4.52%
✅3319円✕100株
1年ぶりの証券口座入金で、PWを忘れるは、入金方法が変わってるわ(新生銀行)でバタバタでした😆
さてどうなることか?#高配当株#配当金 https://t.co/wxpd06eAc1
でも、このように暴落局面で株を買うときに、こんな悩みや迷いが生じることになります。
・もっと株価が下がればもっとお得に買えるのではないか
・買った後に下がって含み損になったらどうしよう
そんな気持ちに耐え、恐怖感を乗り越えて買い注文を入れるためにどのようにメンタルをコントロールすればよいか?
私には3つの考え方があると思います。
底値で買うのはムリと諦めよ
株価は誰にも読むことはできませんから、底値で買うのはムリと腹をくくることです。
これを決行することで思わぬファインプレーも生まれることがあります。
例えばこちらは日本電信電話の5年チャートです。私が購入したのは2020年9月末で分割前2100円台での購入でした。
以降、株価は一時2倍株になるなど、パフォーマンスに寄与してくれています。
こちらも東日本電信電話と同じタイミングで購入したKDDIです。
東日本電信電話ほど上昇率に欠けますが、大きな含み益をキープし続けています。
こちらはクレディセゾンの5年チャートです。まさに底値で掴んだ印象で、以降株価は上昇し、2倍株を達成しています。
まだ他にもありますがこれぐらいでやめておきましょう(笑)
これだけ見ると、「スゲー、神ってる」と褒めてくれる人もいるかもしれません。
でも、これはただ運が良かっただけ。自慢するつもりは毛頭ありません。
このように、底値近辺で買えばいいやという「ざっくばらんな感覚」が結果として底値で掴むこともあるのです。
大事なことは、買いの絶好のタイミングを逃したこととあなたに投資の能力やセンスがないことは無関係であることです。
買った結果、底値を掴めずに含み損状態になったしても、ルールを守ることが大切です。投資家として自信を失う必要はないのです。
最後は投資家として納得のいく売買とするか
できるだけ安い株価で買いたい、でも含み損はしたくないというのが個人投資家の素直な心理状態です。
でも「運」の要素が強い以上、私たち個人投資家として後悔せずに納得のいく方法で購入することを優先して考えるべきです。
では、「後悔せず」「納得のいく方法」で株を購入するためにはどうしたらよいでしょうか。
よく私が使う方法は「とにかくなんでも分散作戦」です。具体的にまとめてみましょう。
- タイミングを分散する
- 資産を分散する
1週間ルールを適用する
私が良くやるのは1週間ルールというものです。例えば買い基準を満たした銘柄を発見後すぐに購入するのではなく、1週間ほど買わないで様子を見る方法です。
ネットショッピングで買い物かごにとりあえず入れて、本当に欲しいか自己診断する方法ってあるわよね。
そう、よくある節約方法と同じで、その感覚と似ています。
場合によっては、最初に見た株価をよりも安く欲しい株を手に入れることができるかもしれません。
購入するタイミングを分割する
私の経験上、私の監視銘柄の中で配当利回り4.4%というのは株価の底値です(できれば、4.5%から4.7%の間で購入するのが理想)。
これは相場全体が息を吹き返し、相場が上昇基調になった際に、ほとんどの銘柄で含み益が発生する株価水準です。
もちろん、さらに地合いが悪化し、配当利回り5%を超えることもたびたびあります。ただ、高配当株の場合、株価が下がれば下がるほどお買い得になるわけです。
なので、いったん配当利回り4.4%で購入し、5%以上まで下がったら買い増しするといった方法を採用しています。
実は私も、配当利回り4.4%程度で購入し、さらに株価が下落して配当利回り5%水準で買い増し、という投資手法を継続しています。
銘柄の分散投資にはよく気を付ける
高配当株が下落してさらにお得な株価になったとしても、総資産に対する1銘柄の資金割合にも注意しましょう。
私の失敗談として、2019年のJTへの投資があります。
総資産の20%以上をJTにつぎ込んだ結果、株価は大幅下落、最後は減配による損切りを招き、その年の運用成績は大きく低迷した苦い経験があります。
このように特定の銘柄の動向がポートフォリオ全体に影響しないように、できるだけ分散投資を進めることが安定運用を実現するための基本となります。
資金が尽きないように注意する
下落相場は突然訪れます。
その期間は2,3日で終わる場合もありますが、半年以上続くこともあります。
終わりの見えない下落相場、追撃買いする資金が足りなくならないように注意したいところ。
追加資金コントロールの方法(例)
- 年間の投資額を決める
- 1銘柄当たりの購入金額の上限を定める
- 半年間で年間投資額の半分を消化するなど計画を立てておく
こんな資金計画を立てておくことです。
ちなみに我が家では
・年間130万円ほどの追加投資を上限とする
・6か月単位で半分(65万円分)の株を買う
・1銘柄あたりの投資金額は20万円から30万円の間
と言ったことを実践しています。
普段買えない株から買っていく
下落相場で株価全体が安くなり、どの銘柄から買うべきか?嬉しい悩みに直面することがあります。
下落相場で買う側にいて「嬉しい悩み」として捉えられれば、高配当株マインドが成熟した状態と言えます。
どの株から買うかはとても難しい問題ですが、私なら普段買えない株から優先して買っていく方法を採用しています。
普段買えない銘柄の例
- 普段は配当利回り4.0%を超えることがない銘柄
- 全体的に高配当株が少ないセクター
例えば、
- 配当利回りが常に4.4%の銘柄が暴落相場で配当利回り5%まで下落した
- 暴落相場で普段配当利回りが3%台の銘柄が配当利回り4.4%まで下落した
もしも買うなら後者のほうを優先的に買うこととしています。
高配当株投資ですが、あえて配当利回りの低い銘柄を買ったほうが配当金と含み益をダブルで楽しめる可能性が高まるのです。
また、セクターによって高配当株の多寡が異なります。
高配当株が多いセクター
化学、情報通信、不動産、建設、卸売など
高配当株が少ないセクター
小売業、非鉄、鉄鋼、輸送、食料品、電気・ガスなど
2023年9月末時点での我が家のポートフォリオは以下のとおりです。
いかに特定のセクターに偏っているかが分かるかと思います。
高配当株が少ない電気製品、鉄鋼、輸送機器などのセクターの保有割合をどう増やすか?これが我がポートフォリオの課題です。
できるだけ分散投資を継続することでポートフォリオ全体の安定感につなげていきたいです。
狙って買えなければ諦めよ
ここまで暴落相場での購入方法を中心にご紹介してきましたが、
- 狙った銘柄が買えなかった
- 予定金額ほど買うことができなかった
といったことが想定されます。その時は、その銘柄とは縁がなかったとして諦めて次の機会を待つことになります。
長期投資家は保有するだけが長期ではありません。長期的な視野に立ち、お得な株価に下落するまでの待つのも長期投資の視点です。
経験上1年のうち、最低でも1,2回は買いを入れるチャンスが来るものです。慌てたり、悔しがる必要はありません。
また、株を買い増ししたくなるぐらいの気持ちが強いほうが次回の投資機会へのモチベーション向上にもつながりやすいです。
ともかく高配当株投資を続ける場合には焦りは禁物なのです。
最後に
ということで今日は、高配当株投資+長期投資家の視点から、暴落相場への対応方法についてまとめてみました。
ここで今日のおさらいです。
- 投資ルールを守り、日々暴落相場に備える
- 暴落相場で狼狽売りしない、買う側に立つ
- 底値で買おうとしない
- 自分が安心して投資できる方法を見つける
- 狙った銘柄を買えなくても焦らない
日本株も暴落局面とは言え2023年の相場は絶好調です。それでも、いつかは暴落相場が不定期に起こりえます。
こうした株価上昇局面と暴落局面での対応に好循環が生まれてくれば、高配当株投資への信頼も強くなり、自信が生まれ、暴落相場に対する耐性も習得できます。
好調な今から暴落相場に備えて心の準備に努めていきたいものです。
今日ご紹介した投資本です。
ご意見・ご感想はX(元Twitter)までお願いいたします。
Tweet to @okiraku_tohshi
それでは不定期更新のコラムでお会いしましょう。みなさんの株式投資が成功することをお祈りしています。