10月には株価が調整局面に入り、日経平均株価は3万円割れ??とドキドキした方もいたかもしれません。
しかし、11月に入って相場の様相も手のひら返し。
うーむ、今思えば、あの時勇気を出して買っておけばよかったなあ…
迷っているうちに株価が戻ってしまって…もう買えないや
などど後悔している人もいるかもしれません。
そこで、今日は高配当株投資の「買い場」について整理してみたいと思います。
先日も、このブログで「暴落時に買いたい銘柄」をご紹介しました。
このような推奨銘柄などを知ると、「よしすぐ買おう!」と思ってしまうあなた。
ちょっと待ってください、少し「高配当株の買い場」というものについて考えてみませんか?というのが今日の記事のメインテーマです。
私は高配当株+長期投資家ですが、誤解を恐れずに言わせてもらうと…
株式投資のカギは全てタイミング
だと確信しています。
私の理想的な投資行動は、相場が悪いときこそ懸命に獲物を買い漁り、堅調なときは相場さえ見ない、そんなメリハリのある投資です。
「買い場」のパターンを知るメリット
- 買い場に合わせた適切な投資行動がとれる
- 早く決断できるようになる
- 投資家としての踏ん張りどころが分かる
- 暴落相場が苦しみから楽しみに変わる
例として、私の保有株の一部をご覧入れましょう。
ご覧のとおり、
- アルプス物流
- 三菱UFJ
- NECキャピタル
- 三井松島HD
などなど、株価は2,3倍あたりの前の含み益になっています。
よく高配当株は株価が上がらないとか全然儲からないという人がいます。
「高配当株の買い場」を知ることができれば、高配当を受け取りながら売買差益もダブルで得られるようなポートフォリオを組むことが可能になります。
今日の記事を読みながら、「高配当株の買い場」について一緒に考えていきましょう。
高配当株の「買い場」とは何か?
「高配当株の買い場」の理解が必要な理由
色々な高配当株の本を見ると、たくさんの推奨銘柄や高配当株の探し方が掲載されています。
ただ、こうした本に掲載されている銘柄をそのまま買ってもうまくいかないことも多いのではないでしょうか。
それは、高配当株の「買い場」が明確になっていないからだと考えます。
冒頭で、株はタイミングである、と言ったのは、「買い場」を知ることで多くのメリットがあると考えるからです。
・欲しい株が1円でも安く買えるチャンス
・手に届かないと思っていた優良株が手に入るチャンス
・自分の理想に近いポートフォリオを構築できるチャンス
・長きに渡る調整や暴落時でも生き抜いていける耐性が身につくチャンス
魅力的な高配当株を発見してから注文して買うまでのプロセスをパターン化することができれば、
私たちの目の前に立ちはだかる未知の局面や目を覆いたくなるような暴落局面に直面しても、
冷静にかつ勇気をもって対処することができ、先ほど掲げた4つ大きなチャンスをゲットできるようになると考えるのです。
「高配当株の買い場」を実践するための準備
こうした「高配当株の買い場」を理解して投資行動につなげていくためには、3つの大切なことがあると考えます。
買い場を探るために重要なこと
- 買いのルール(投資条件)を作る
- 作ったルールは曲げない
- そのルールに該当する監視銘柄リストを作る
まず重要なのは絶対ルールです。例えば、私の場合は、3つの条件に該当する銘柄を買うとしています。
我が高配当ポートフォリオの条件
- 配当利回り4.4%以上
- 営業利益過去10年赤字なし
- 2009年以降減配がない(特配、記念配は除く)
このような投資対象とする条件を明確にするべきです。
また、このような条件やルールを安易に変更してはいけません。例えば、相場が好調な時は高配当株銘柄が少なくなりがちです。
- 買える銘柄がないので投資条件を緩くする
- どうしても欲しい銘柄があるから条件を満たさないけど買ってしまう
- ネット記事やカリスマ投資家の真似をしてすぐに買ってしまう
そのようなことは避けるべきです。
そして、欲しい銘柄を監視銘柄リスト化し、株価が下がればいつでも買い出動できるように準備をしておく必要があります。
高配当株の5つの「買い場」
では、前置きが長くなりましたが(←悪い癖)高配当株の「買い場」とはどのような状況でしょうか。
私は5つのパターンに分けることできると考えます。
高配当株「5つのパターン」
- 相場全体が調整・暴落局面のため下落している
- 一時的な業績の悪化のために下落している
- 悪いウワサが流れて下落している
- 増配の発表があった
- 常に不人気でいつも高配当株である
この5つのパターンに合わせた投資行動とはどのようなものになるのか?
ひとつひとつ確認していきましょう。
パターン1:相場全体が調整・暴落局面の場合
高配当株の買い場で典型的なパターンは、相場全体が調整・暴落しているときです。
特に高配当株も連れ安している場合は、
買うか買わないか
ではなく
どの銘柄から買っていくかが課題となります。また、暴落局面でも買いに向かう勇気が必要になります。
ハワード・マークスの名著、投資で一番大切な20の教え 賢い投資家になるための隠れた常識 では、「最良の投資方法とは、暴落時にどんな価格でも、とにかく売らなければならない人から買うことである」と述べられています。
注意する点は以下の3点です。
調整・暴落局面で注意すること
- 追加購入するペースを考慮する
- 1銘柄にリスクを取り過ぎない
- 普段買えない銘柄を買う
- 自分で納得がいく買い方をする
詳しくはこちらのページをご覧ください。
ひとつだけ補足するとすれば、「暴落はお金持ちになるチャンス」ということです。
大江英雄著「となりの億り人 サラリーマンでも資産1億円」においても、「億り人になれた人には共通点がある、それは暴落相場で買えるリスクを取れる人だ」と書かれています。
暴落相場では、恐怖におびえて「売る」のではなく、リスクを取って「買う」ことが成功への近道であると頭に叩き込んでおきましょう。
パターン2:一時的な業績悪化で株価が下落しているとき
次に分かりやすい買い場は、一時的な業績悪化で株価が急落しているときです。
長期投資は逆張り思考
よく決算で減益決算や下方修正などが発表されると、「この銘柄はダメ」と言ってすぐに売ってしまうファンダ系投資家もいると思われます。
また、高配当株投資の銘柄選びでは以下のとおりよく言われます。
高配当株選びあるある(一例)
- 売上は安定していること
- 利益は概ね右肩上がりであること
このような銘柄への投資は否定はしません。
でも、人よりもパフォーマンスを上げようと思ったら人とは違うことをする必要があるのが株式投資のオキテです。
例えば、一時的な業績悪化で株価が暴落し、高配当株化した銘柄はむしろ絶好の「買い場」です。
業績悪化銘柄への投資例(化学セクター)
例を挙げると、2022年における化学セクター銘柄が該当します。
2022年は物価高、原油高、資源高など化学セクターにとっては業績面で厳しい一年で、多くの銘柄で業績は悪化し株価は低迷していました。
そこで私は、そうした目先のファンダメンタルは気にせずに高配当株化した銘柄を買い込むことにしました。
2022年以降に購入の化学セクター銘柄
- 4042 東ソー
- 4041 日本曹達
- 4042 ダイセル
- 4220 リケンテク
- 4095 日本パーカライジング
- 7931 未来工業
2023年に入って原油高は一服、価格転嫁も進むなどこれらの銘柄の業績も回復。結果、市場からの評価も高まり、株価は上昇することになります。
ご紹介した銘柄を含めて2023年10月末時点の数字は以下のとおりとなっています。
リケンテクノスの2倍株を始め、ダイセル、綜研化学、日本曹達など順調に含み益が積みあがっている状態です。
2021年11月末時点との比較しても化学セクターの占める割合が7%から16.5%程度上昇したことになります。
業績悪化銘柄投資への課題
このような業績悪化銘柄への投資は順張り投資家にとって発想の転換が必要です。
例えば、一時的な業績悪化なのか、継続的な業績悪化なのか、どう判断するのかという問題があります。
少々乱暴な言い方をすると、一時的かどうかは判別せずに高配当株化した銘柄は全て買ってしまおうという感じです。
実際に業績悪化銘柄を買ってみると、決算の数字が悪くても減配しなければ、株価は下がらない銘柄ってあるんだということが分かります。
つまるところ、
・良い会社への投資は、さらに良い業績を投資家が求める
・業績がイマイチな会社は、投資家による評価のハードルが下がる
結果、業績悪化銘柄は自然に不人気銘柄への投資となると言えそうです。
また、株式投資には、配当の顧客効果というアノマリーも存在し、投資家は高配当銘柄を好む傾向があるとも言われます。
もちろん、業績悪化銘柄への投資が全ての銘柄で成功するとか限りません。
でも、分散投資を徹底することで業績悪化銘柄への投資がポートフォリオ全体としては大きなリターンをもたらしくれるはずです。
パターン3:悪いウワサで下落している銘柄
株式投資の格言に、噂で買って事実で売る、という言葉もありますが、悪いウワサで株価が暴落しているようならその高配当株は買いということになります。
一例はNTT東日本とKDDIです。
2020年の9月末に菅総理(当時)がスマホ代を2割安くすると発言。この発言を受けて3大キャリア(NTT、KDDI、ソフトバンク)は大幅下落。一時はストップ安を記録する局面もありました。
そこで、権利落ち直後でありましたが、配当利回り4.4%を超えたところで、NTTとKDDIを購入しました。
結果的にこの両銘柄は直近の底値で掴むことができたのです。
そして、肝心の業績への影響度ですが、菅発言による決算の影響はほとんどなく、NTTもKDDIも微減・ヨコヨコ程度だったと記憶しています。
今ではこの両銘柄ともにわがポートフォリオの一角として君臨し続けています。
購入した当時の心境は不安でいっぱいでしたが、もしも、このチャンスを逃していたら、保有することはなかったかもしれません。
このような悪いウワサで買うことが高パフォーマンスにつながることを念頭に置いておく必要があります。
パターン4:増配発表によって高配当株化した銘柄を買う
パターン4は増配発表によって配当利回り4.4%以上になった銘柄を買うパターンです。
高配当株は基本は不人気株への投資。安値で放置されている銘柄を買うのが主流です。
でも、増配発表によって株価は上昇しても、利回り4.4%以上であれば絶好の買い場となるケースがあります。
例えばサンワテクノス(8137)です。
サンワテクノスは2023年3月期の3Qを発表。同時に増配予想を発表し株価は急騰しました。
もうひとつの事例は未来工業(7931)です。2024年3月期の配当見通しで大幅増配を発表し、株価は急騰しました。
両方とも株価が急騰した中での買いとなりました(〇の部分)。
チャートだけ見ると、この高値で買うの?と怪訝に思う人もいるかもしれませんね。ただ、結果、銘柄ともに株価はその後も堅調に推移しています。
このような株価チャートは、いわゆるテクノファンダメンタリスト理論ではよく見られる「買い場」とされます。
テクノファンダメンタリスト理論…ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析を融合した投資法
ニコラス・タレブのボックス理論(「私は株で200万ドル儲けた」)やマーク・ミネルヴィニの新高値投資法などで採用されている投資スタイルです。
単に過去の株価と比較して安い高いを判断するのではなく、配当利回りとの比較で判断することも高配当株の「買い場」のひとつと言えます。
では、こうした増配銘柄の情報をいかに素早くキャッチするか?これはまた別の機会に記事にしたいと思っています。
パターン5:常に不人気でいつも高配当株である
最後に、常に不人気でいつも高配当株への投資です。
例を挙げると、株式相場がとても堅調で多くの銘柄が上昇しているのに、いつも配当利回りが投資ルールである4.4%を超えているような銘柄です。
基本的にはこのような銘柄は、条件を満たしていても買わずに監視銘柄としてウオッチしていきます。
このような銘柄の「買い時」以下の3つのパターンです。
万年高配当株への対処方法
- 配当利回り5%まで待つ
- 年間の予算枠が余ってしまう場合に買う
- 過去5年チャートの底値近辺で買う
例えば、マーベラス(7844)という銘柄があります。この銘柄は配当利回り4.8%前後を推移している高配当銘柄です。
2021年後半から650円台と700円台のボックス圏で推移しています。
2023年10月末時点での株価685円台ではもう一押し欲しい印象で、他に欲しい銘柄があればそちらを優先して買いたいという投資判断です。
もし、この株価で買うとしたら、「投資予算が余って他に買いたい銘柄がないとき」ということになろうかと思います。
我々には資金に限りがありますから、優先順位を考えながらポートフォリオを構築するように心がけていきたいです、
まとめ
ということで今日は、高配当銘柄の買い場には5つのパターンがある、ということについてまとめてみました。
- 相場全体が調整・暴落局面のため下落している
- 一時的な業績の悪化のために下落している
- 悪いウワサが流れて下落している
- 増配の発表があった
- 常に不人気でいつも高配当株である
もちろん、高配当株化した銘柄を淡々と購入する方法も否定はしません。
でも、人よりも素晴らしいリターンを上げようと思ったら、もう一工夫凝らすことが大事です。
みなさんもぜひ高配当株の買いパターンをマスターして、賢い株式投資を心がけていきましょう。
なお、本ページで書いている「高配当株」は単に配当利回りを見るのではなく…
・過去10年間営業赤字がない事業内容であること
・2009年以降減配がないこと(記念配・特別配を除く)
この2つの条件を満たす株主想いの銘柄であることをお忘れなく。
今日ご紹介した本です。
みなさんと一緒に株式投資で資産形成にがんばっていきたいと思います。
ご意見・ご感想はX(元Twitter)までお願いいたします。
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それでは不定期更新のコラムでお会いしましょう。みなさんの株式投資のヒントになれば幸いです。