不定期にお届けしているコラムです。
今日は、あなたが今やっている株の勉強のほとんどが無駄になっているという記事を書きます。
こんなことを書いて気持ちを害したらごめんなさい。でも、私自身結構本気でそう思っていますんで正直に書きますね。
特に個別銘柄を扱っている人は要注意なんだと思うんです。
毎日毎日監視銘柄の株価をチェックし、
売り買いのシグナルがないかをチェックし、
保有株のS高、S安に一喜一憂し、
四半期決算が発表されれば中身をチェックし、
自分の描いた成長ストーリーが崩れていないかチェックし、
日々投資判断を下す。
さらに、
新たな急騰銘柄を探すためにマネー雑誌やマネーサイトを読み漁り、
株クラや有名トレーダーの相場観が気になってSNSを覗いてみたり…
そう、個別投資家は無駄に忙しいんです。
でも、その作業って、本当に株式投資のパフォーマンスに貢献していますか?
株式投資で消耗していないで限りある人生を楽しく過ごすべきじゃないですか?
株式投資初心者や株式投資で悩んでいる人たちに問いただしたいです。
ワタシなんざ、時々高配当株監視銘柄をチェックするだけ。株式投資にかける時間は、2,3日で数分間程度で終了です。
それでも、我が家の資産運用はこの数年プラスに推移していています。
この記事を読んでみなさんの投資法の見直しに貢献できると嬉しいです。
なお、ご意見・ご感想はX(元Twitter)までお願いいたします。
Tweet to @okiraku_tohshi
ほとんどの株の勉強が無駄である、と思う3つの理由
株式投資をこれから始める方、株式投資に悩んでいる方は、儲かる投資法にこだわりがちです。
でも、株式投資で資産形成を行うためには、投資法や勉強法よりももっと大事なことがあると私は考えます。
まずは、個別銘柄を取り扱うにあたって、ほとんどの勉強が無駄に終わる理由を3つ挙げてみましょう。
20回の投資のうち成功するのは1回だけ
JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続けるお金と時間の法則(ニック・マジューリ著)によると、米国の調査でこのような結果が出ています。
1926年から2016年にかけて米短期国債を上回る株式の超過リターンを生み出した銘柄を調査したところ、「米国株式市場全体を実質的にけん引してきたのは最も業績の良い4%の上場企業にすぎない」という論文があるのです。
つまり、あなたが個別銘柄で大きな利益を挙げられる銘柄を保有できる確率はわずか4%程度。
20回のうち19回は買値前後の撤退か、大きな含み損・損切り撤退のいずれかになる、というのです。
そう、あなたのやっている株の勉強や研究の95%は無駄だということになるのです。
全てはテールイベントで決まる
Psychology of Money 一生お金に困らない富のマインドセット(モーガン・ハウセル著)ではテールイベントという考え方が紹介されています。
よく株式市場は100年に1回のことがたびたび起こる場所だと言われます。
テールイベントとは確率的にはほとんど起こりえないけれど、起こったときのインパクトが極めて大きい事象のことを言います。
この本によりますと、米国のラッセル3000を構成する銘柄のうち約4割が倒産しているが、7%の銘柄が優れたパフォーマンスを示していることで、ポートフォリオ全体としては1980年以降73倍まで上昇した、としています。
同じような事例として、かのウォーレン・バフェット率いるバークシャーハサウェイも、2013年の株主総会で400から500銘柄の株式を保有し、利益のほとんどはわずか10銘柄だったといいます。
あなたが実践している株の勉強や研究は、大きくアウトパフォームするような銘柄を発掘できる方法なのでしょうか。思い返してみましょう。
株式投資の成否を決めるのは運
このように考えると、個別銘柄投資のハードルがいかに高いことが分かります。個別銘柄投資はそれだけ難しいことにチャレンジしているんだ、と自覚すべきでしょう。
そう聞くと、結局インデックス運用がいいんじゃね?という気持ちになってきますが、これは決して個別銘柄投資だけでの話ではありません。
株式投資の成否を決めるのは、最後の10年間である言われます。
先ほどご紹介したJUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続けるお金と時間の法則においても、
インデックス運用であっても数%の確率でマイナス運用に終わる可能性があり、
実際に成果を上げられるかは「神のみぞ知る」
そう結論付けています。
結局、いくら株の勉強や研究をしても最後は「運」で決まってしまう。株式投資にはそんなはかない現実があることを受け止める必要があるのです。
株式投資において必要な思考
どうでしょうか。株で利益を上げるために、一生懸命勉強することがバカバカしく感じてきませんか?
しかし、このような理不尽な世界だからこそ株主投資に魅力があるのです。それでは、私たちが相場を生き抜いていくためにはどのように取り組んでいけばいいのでしょうか。
私は3つの思考が重要と考えます。
・株式投資自体をシンプルに考えること
・投資ルールに自信が持てること
・できるだけ長く相場に生き残れること
それでは順番に見ていきましょう。
株式投資をシンプルに考えること
私たちは株式投資で成功するために…
難しく考えることが株式投資によい結果を生む
日々の勉強が株式投資で成功するコツだ
多くの条件をクリアする銘柄こそ最良の銘柄だ
こうした思い込みを考え直す必要があると思うのです。
私も過去の経験から投資ルールを整理し、たった3つの条件までそぎ落として資産運用に励んでいます。
私の銘柄選びにおいて、PERやROE、営業利益率、自己資本比率などは条件に含まれていません。
私たちに求められるのは効率的な勉強方法であり、不要な投資ルールはできるだけ排除することが望ましいと考えます。
投資ルールに自信が持てること
株式投資で成功するためには投資ルールを守ることが大切です。そしてその投資ルールは私たちに利益をもたらしてくれ、かつ、自信があるマイルールである必要があります。
重要なのは、20回に1回しか成功しない個別銘柄投資の世界でも、自分の投資手法を信じることができるかどうかです。
投資ルールを守り、ひとつひとつ成功体験を重ねていく、時には必要に応じてブラッシュアップを積み重ねていく。こうして自分だけのマイルールを作り上げていくことが必要です。
相場に長く居続けられること
ジェレミーシーゲルも「人は大量かつ明確な歴史的なデータより、恐怖に突き動かされて投資をしている」と言っています(「株式投資~長期投資で成功するための完全ガイド」より引用)。
例えば、みなさんはこんな経験はないですか?
・10年間のBSやPLをExcel入力し、企業価値や理論株価を計算して株式を保有。
・将来有望な事業分野を調査・勉強し、数週間かけて関連銘柄にたどり着いて株式を保有。
でも、暴落が起こると急に怖くなり、自分の考えに自信を失い、あっさりと手放してしまう…
これでは株式投資で成功するのは難しいでしょう。
株式投資で成功するためには、歴史的な暴落もやり過ごし、長く相場に居続けるメンタルが大切です。
かのウォーレン・バフェットは10代から株式投資を始めましたが、これまで稼ぎ出した純資産845億ドルのうち、815億ドルは60代半ば以降に増えたとされます。
これだけの資産を稼ぐことは私たちには無理ですが、長期間相場に居続けること、そして、長期投資によって複利の効果が資産形成に絶大な威力を発揮することは覚えておいて損はないでしょう。
最後に
お金は人生を幸せにするツールです。株にどっぷりつかって大事な時間をロスしては元も子もありませんね。
もちろん、株が好きで趣味だったら話は別ですが、勉強すれば株で確実に利益が上げられるとか思わないほうが良いでしょう。
さしずめ我が投資手法は、たった3つの条件で投資判断をするとてもシンプルな手法です。
高配当株投資なら、これまで挙げてきた様々な困難を乗り越えて資産形成が可能になると確信しています。
皆さんにおいても、株式投資という魑魅魍魎な世界を生き抜くために、シンプルな投資手法も検討してみてはいかがでしょうか。
*****
なお、本稿を読んで、個別銘柄投資はムリゲー、インデックス運用が一番だよねって思った人もいるかもしれません。
でも、高配当株投資ならその壁を乗り越えてでもチャレンジする価値があると私は思います。このことに関してはまた後日に。
本日ご紹介した書籍です。
ご意見・ご感想はX(元Twitter)までお願いいたします。
Tweet to @okiraku_tohshi
それでは不定期更新のコラムでお会いしましょう。みなさんの株式投資が成功することをお祈りしています。