今日は、高配当株で2倍、3倍になる銘柄を発掘する方法についてまとめていきます。
(自己紹介)
2011年から高配当株を開始。
ブリクジット、チャイナショック、コロナショックなど多くの暴落を高配当株投資で乗り越えてきた個人投資家です。
買った銘柄は基本放置。長期投資で資産形成を実践中です。
高配当株投資の世間のイメージとしては…
・高配当株は儲からない
・高配当株投資は効率が悪い
・資金が大きくないと高配当株投資は不利
などと言われます。そしてしまいには…
配当利回り4%の高配当株を100万円買っても4万円しか利益にならない…
そんな誤った利益があるようです。
私は2011年から高配当株投資を実践していますが、ポートフォリオ上位の銘柄たちは、軒並み2,3倍株にもなる銘柄を保有中です。
そう、高配当株も上手に銘柄を選定すれば、配当金だけではなく、大きな含み益もダブルでゲットすることができるのです。
こちらが2024年4月30日現在のわが高配当株ポートフォリオです。配当金だけではなく含み益がかなり乗っていることがお判りいただけると思います。
そこで今日は、今回2倍株、3倍株を達成した銘柄を参考にしながら、どうすれば高配当株で2倍、3倍になる銘柄を探し当てることできるのか?をまとめてみます。
今回の記事を読めば、
高配当株の儲からないイメージも一新され…
2倍、3倍になる銘柄を発掘することができ…
高配当株で資産を大きく増やすことができる…
かもしれません。
なお、ご意見・ご感想はX(元Twitter)までお願いいたします。
Tweet to @okiraku_tohshi15倍株になったアルプス物流
今回、我が保有株であるアルプス物流を取り上げます。
アルプス物流は2011年の秋に776円(分割後388円)で購入。2024年4月末には3200円を付けたあとロジスティードが5774円でTOBを発表。結果15倍株を達成することになります。
15万円が12年間で230万円へ!株って夢があるよね~
10倍株をゲットする方法
では、このような10倍株をゲットするためにはどうしたらよいか?
10倍株を狙って銘柄選別するのは相当な努力が必要で、決して簡単なことではありません。
でも、私のように株式投資に特別なスキルもなく、業界に対する知識がなくても10倍株をゲットすることができるのです。
我が高配当投資においては、2008年以降減配がなく、過去10年間営業赤字のない銘柄を配当利回り4.4%超の株価で購入するだけです。
今回アルプス物流を買えた理由を一言で言えば
・株主還元として配当政策を重視しており、
・地味で不人気な銘柄を
・できるだけ安くなったところで購入する
この3つにつきます。とてもシンプルですね。
10倍株に必要な条件、必要でない条件
でも、実際にみなさんが銘柄選別するときには…
- PER/PBR
- ROE/ROA
- 営業利益率
- EPS成長率
- 自己資本比率
- 流動比率
- 将来伸びそうなセクター
などなどいろんなことを考えて投資していると思うんです。
その中から10倍株を手に入れるにはどうしたらよいのか?
高配当株投資の視点から、10倍株に必要な指標と必要ではなかった指標を整理していこう、というのが今回の記事のメインテーマです。
6倍株の参考にならなかった銘柄選別
もしも、私が以下の株価指標を参考にして投資判断を行っていたら、アルプス物流に投資することはなかったでしょう。
参考にしなかった指標
- 営業利益率・ROEなどの収益性に関する指標
- 成長性や将来性
- 会社四季報の記事
え?意外ですか?それではひとつひとつ見ていきましょう。
株価指標へのこだわりは参考程度にとどめるべき
まず、言えるのは、営業利益率やROEといった一般的にスクリーニング条件として紹介される指標はほとんど関係がないという点です。
まずは会社四季報2011年夏号のアルプス物流の業績推移はみていただきましょう。
ご覧のとおり、
- 売上高にバラつきが多く
- 営業利益・純利益は右肩下がり
- 成長性があるとは言えない
もしも、この会社の業績推移だけを見たら、この銘柄に投資したいと思う人はほとんといないのではないでしょうか。
営業利益率も5%前後、ROEも5%なのでどちらも高い数字とは言えません。
しかし、結果的にこの銘柄が6倍株を達成しているわけなので、高配当株投資+長期投資の前には、営業利益率やROEはあまり気にする必要がないと言えそうです。
以前も「【検証】高配当株選びで営業利益率は有効なのか?過去5年間のデータで検証してみた」という記事で営業利益率はパフォーマンスに影響しないのではないか、という記事を書きました。
また、なのなの氏著 月41万円の“不労所得”をもらう億リーマンが教える「爆配当」株投資においても、実は高ROE銘柄の方が低ROE銘柄よりもパフォーマンスが低いという傾向もあるそうです。
一般的な長期投資に適したスクリーニング条件は、営業利益率10%以上とかROE8%以上といったものが多いです。
もしも、こうしたスクリーニング条件にこだわっていたら、私はアルプス物流を購入することはなかったでしょう。
業績は右肩上がりにこだわり過ぎない
銘柄選定を行う際には会社の成長性や業績推移を重視することが多いです。
例えば、売上高は概ね右肩上がりであること、EPSは概ね右肩上がりであること…といったたぐいのものです。
そもそも「概ね右肩上がり」って言うのも眉唾(まゆつば)ものです。
こちらは2007年以降の7年間の業績をグラフ化したものです。赤い折れ線グラフは営業利益を示します。
2009年以降、売上高(青の棒グラフ)は漸増ですが、営業利益は低迷したままです。お世辞にも右肩上がりで順調な業績とは言えませんね。
こちらは2024年までの業績をグラフ化しています。これを見ると、概ね右肩上がりのようにも解釈できます。
このように「概ね業績が右肩上がりであること」という投資条件は…
・時期によってどちらにも捉えられるあいまいな基準であること
・右肩上がりを確認してからでは株価が上がっていて投資妙味に欠けること
と言えると思います。
この「概ね業績が右肩上がりであること」の裏には、株価が上昇するためには、業績が常に昨年よりも良好ではなくてはならないという固定観念があるように思えます。
でも、実際には…
・常に増収増益、成長力が続かなくても株価は上がる
・減益決算が続くような不人気株にこそ投資妙味がある
よく決算マタギすべきかどうかというSNSの書き込みが見られます。
高配当株・長期投資を実践してみると、こうした業績悪化に対する不安から解放され、ストレスなく投資を続けることができるようになります。
ネガティブな記事は参考程度に
個人投資家のバイブルとも言われる会社四季報。年4回発行される会社四季報の記事を見て投資判断する個人投資家も多いと思います。
また、株本などでは「独自増額」「再増額」と書かれていたら買い、などと言われることもあります。
アルプス物流の場合はどうだったのでしょうか。2011年夏号と秋号の記事は以下の通りでした。
2011年夏号
【低稼働】主力の電子部品関連は、物流や商品販売に上期の顧客の低稼働や輪番操業による生産性低下が響く2011年秋号
【費用先行】電子部品物流事業は倉庫で小名浜(増築)や北上(新築)、上海・松江が稼働。(中略)期初は震災影響で国内貨物量低調。消費物流事業の開設費用負担もあり減益
このように両方ともネガティブな見出しばかりです。もしも、この記事を信じていたら、アルプス物流を購入するに至らなかったでしょう。
10倍株達成で重視したこと
PERやPBR、配当推移を重視する
では、当時のアルプス物流の業績から有効な指標はなんだったのかを考えてみましょう。
参考にした指標
- 低PER、低PBR
- 配当性向30%から40%程度
- 1997年上場以来減配がなく増配傾向(記念配翌年を除く)
- 高配当利回り(4.4%)
予想PERは約7倍、PBRは0.4倍程度なので株価指標としてはかなり割安です。また、1997年に上場して以来減配もありません(記念配を除く)
そして、配当利回りは4.4%超でかつ増配傾向にあります。
このように見てみると、高配当株投資では、営業利益率やROEよりも、将来的に成長も見込まれている優良株を買うよりも、
結局、最後は地味で評価されにくく市場から割安で放置されている銘柄のほうが有望ということになります。
高配当株投資は、いわゆるバリュー投資・割安成長株投資に近い考え方に近いといえます。
長期投資に徹すること
高配当株投資においては、時間を味方につけた長期投資が基本です。2倍、3倍株を見つける場合には、長期的な視点で投資を続けることが欠かせません。
そもそも、投資とは経済活動によって生じた利益の一部を株主に還元することです。
上岡正明氏著の 最強の高配当投資 売却益×配当益 爆速で資産を増やす!という書籍においても、高配当株は盆栽づくりと同じだと称し、時間をかけてゆっくりと育てていくことが重要であると説いています。
値上がりした高配当株を売る行為
しかし、昨年の秋ごろにSNSで話題になっていたのが、上昇した高配当株を売却することの是非です。
- 株価が上がっても売るのも一考
- 高配当株は売らないという考え方は頭が固い
といったコメントがネットで散見されました。
確かに昨今のような高配当株人気の相場において、株価が急騰して大きな含み益が出ることも不思議ではありません。
それでも高配当株が急騰したことをもって簡単に売却するべきではないと私は考えます。
なぜ成功している投資を終了させるのか
高配当株を売るときの理由としてよく見られるのが、
- 配当金10年分の含み益が出たから高配当株を売ってしまおう
- 買値から倍になったから半分売って恩株にしよう
と言った投資判断です。
でも、株価が上昇して大きな含み益が出たということはその銘柄への投資が順調であるという証しです。
なぜ順調なのにわざわざ自ら投資を打ち切ろうとする必要があるのでしょうか。
株式投資の世界では「損小利大」という言葉があるように、利益はできるだけ大きく伸ばすことが必要です。
長期投資で高配当株を保有する戦略だったのに、ついつい目先の利益を確保に走りがちです。結果、さらに株が上昇しても、売却したためにその恩恵を受けられなくなるのです。
テールイベントの効果を理解する
もしも長く株式投資をやっている人なら分かると思うのですが、ポートフォリオ全体の利益のほとんどは1,2銘柄だけで、残りの8割は含み損状態か収支トントン…
そんなことがあると思います。
例えば、数多くの書籍で有名な弐億貯男さんのポートフォリオを見てみますと、3600万円の含み益のうち、2銘柄で3000万円の含み益となっています。
ちょっと総資産額の桁が違うのでイメージがわきにくいですが…
このようなことをモーガン・ハウセル著 サイコロジー・オブ・マネー―一生お金に困らない「富」のマインドセットにおいては、テールイベントという表現を使って説明しています。
テールイベントとは、確率としては極めて起こりうる可能性はとても低いが、起こってしまうと株式運用に大きな影響をあたる事象のことを言います。
例をいくつか挙げてみます。
米国株指数ラッセル3000
ラッセル3000とは、時価総額で米国市場上位3000銘柄からなる時価総額加重平均型(浮動株調整後)の指数(配当込み)で計算したインデックス指標です。
ラッセル3000は1980年以降指数は73倍になっています。
でも、そのパフォーマンスに貢献したのは構成銘柄のうちわずか7%であり、構成銘柄の4割は70%下落してほぼ倒産状態となっているのです。
つまり、一部の銘柄がポートフォリオ全体の運用成績を牽引するテールイベントが発生する状態といえるのです。
バフェットの利益のほとんどは10銘柄
ウォーレン・バフェット率いるバークシャーハサウェイも、2013年の株主総会で400から500銘柄の株式を保有し、利益のほとんどはわずか10銘柄だったといいます。
「花を引き抜き、雑草に水をやる」行為
利益が乗っているうちに高配当株を売却してしまおう、というのは、株価が下落すると含み益が溶けてしまうかもしれない、早めに利確しておきたいという欲望からくるものです。
ピーター・リンチはこのように利益が出ている銘柄を売ってほかに乗り換える行為を、「花を引き抜き、雑草に水をやる」行為と評して否定的な姿勢を示しています。
もしも、あなたが20%上昇したら売却する、10年間の配当金分上昇したら売却するとしたら、あなたのパフォーマンス全体の利益を牽引する銘柄が満開に咲き誇る前に花を摘んでしまうことになるのです。
タワー投信のファンドマネジャー清原達郎氏もその著書の中で、20%上がったところで売ってはいけない、最低でも2倍株は目指すべきだ、と述べています(我が投資術~市場は誰に微笑むかより引用)
値ごろ感や根拠のない相場観での売買からは一日も早く卒業するべきです。
増配を検討するべき
高配当株を長期保有するべきで売るべきではないのは増配の可能性があるからです。増配によって、取得額に対する配当利回りは年を経ることによって高まっていきます。
例えば、アルプス物流は分割後388円で購入しましたが、2024年現在、配当金は44円を生み出すまで成長しています。取得株価に対する配当利回りは約11%です。
アルプス物流のほかにも、取得した株価に対する配当利回りは、10%越えの銘柄や7%以上を超える銘柄が多く含まれています。
なのに、単に●年分の配当金だけ利益が出るから売ってしまう、というのは、半永久的に受け取ることができる配当マシーンを自らの手でダウングレードしてしまうことになるのです。
本ブログでは、このように永久保有に資する銘柄を監視銘柄として公開しています。
最後に
ということで今日は、アルプス物流の歴史を紐解きながら、〇倍株を手に入れる方法をまとめてみました。
なお、アルプス物流も含め、今回ご紹介した銘柄は配当利回りが下がっており、高配当株投資としては適さない銘柄も多く含まれていることを申し添えます。
もしも、本ブログでは、高配当株投資に最適な監視銘柄を期間限定で公開中です。
もしもよろしければ参考にしてください。
わが高配当株ポートフォリオの運用成績はこちらです。
ご意見ご感想はこちらまでX(元Twitter)までお願いいたします。
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本日記事の中でご紹介した書籍は以下のとおりです。